PS 「Courier Crisis」

1998 BMG
New Level Software
PS/SS
↑このローポリ感最高!
プレイステーションソフト「Courier Crisis」を紹介!

「メッセンジャー」という超マイナーなジャンルにスポットを当てた、爽快チャリンコアクション&バイオレンスB級バカゲー! 元祖クレイジータクシーとの呼び声高いこのイカしたゲームを見逃すな!


↑ダッシュで手紙を配達!
自転車特急便

1998年にPS/SSで発売された本作は、メッセンジャーとなり、客から預かった荷物を制限時間内に届けるデリバリー系アクションゲーム。 舞台となるのはアメリカ西海岸近郊で、プレイヤーはジャッギジャギのポリゴンで出来た街中をBMXで爆走することになる。

ルールは非常にシンプルで、客を探して荷物を受け取り、$マークの付いた受取人に渡すだけ。 この一連の流れを右上の時計メーターがゼロになるまでに遂行し、面によって2~6回届けることができればクリアという流れだ。

時計には緑・黄・赤の3種類のタイムゾーンがあり、緑のゾーンのうちに届ければ高い報酬が、黄色では並みの報酬が…という具合に早く届ければ届ける程もらえる報酬が多くなるという仕組みで、稼いだ報酬で高性能の自転車を買いつつ全15レベルの制覇を目指すのがゲームの目的となっている。 さて、基本的なシステムが分かったところでお次は重要なトリック&テクニックを解説!


↑通行量はかなり多いぞ!
メッセンジャーの作法

基本的に時間との戦いとなる本作では、道行く車や街路樹等の障害物を避け、素早く迅速にマップを攻略していく必要がある。 しかも厄介なことに時間制限だけでなく、「ライフメーター」の存在もあるので、少しでもスピードに乗っていると”些細な接触でもハデに転んでしまう”本作ではとにかく慎重な運転が要求される。

テクニックとしてはまず、乗用車程度なら乗り越えることができる「ウィリー走行の習得」、そしてタメが必要なクセのある「ジャンプの距離感を掴む」、通常のブレーキと比べると旋回速度が段違いな「サイドブレーキの活用」等々がある。 特に最後のは非常に重要で、直角に曲がることがほとんどな本作では必須のテクニックといえるだろう。

ちょっとモタついただけですぐに「クビだ!」と宣告されるので(画面上にデカデカと表示!)基本テクニックを早く習得できるようゴー・プラクティスだ。

↑空中で1回転!
そしてもう一つ習得しなければならないのが、ジャンプ中に繰り出すことの出来る「エアートリック」の数々。 実際のメッセンジャーが仕事中にトリックメイクしてるかはさておき、ゲーム中にトリックを決めると「スピードアップ」「ライフ回復」などのブースト効果が獲得できるので、上記のテクニックと併せて重要な要素となっている。

中でも ジャンプ中に↓+L1orR1で発動できる「AIR360」「制限時間アップ」の効果があり、使用できる回数は限られているがかなり汎用性は高い。 序盤のレベルでは必要ないかもしれないが、「明らかに制限時間が少ないミッション」が出てくるレベル5以降では、これらのトリックを状況に応じて素早く出すことが出来なければクリアするのは難しいだろう。

マップ上に”何かしらのネタが仕掛けられている”レベル5からが本当のゲームスタートと言っても過言ではなく、以後のステージでは初見クリアが絶望的に難しい面が数多く登場する。 幸いリスタート時のロード時間は皆無なので、集中力を切らすことなくリトライ出来るのが嬉しい仕様。 何回もやり直して正解のルートを見つけよう。


↑邪魔な奴は鉄拳制裁!
暴走サンフランシスコ

ゲームの目的は15のレベルを制覇することだが、これは15面という訳ではなく、1レベル当たり約3ステージ用意されており、「ダウンタウン」「チャイナタウン」など西海岸の個性的な5つのマップ/全43ステージを攻略していくことになる。

もちろん、これらのマップにはちゃんと「通行人」が存在しており、西海岸の活気溢れる街が見事に再現されている。 しかし…!こちとら秒刻みの配達中!邪魔な通行人はThrashで解決だ! そう、本作では当たり前のようにある「パンチ・キック」の攻撃ボタンで好きなだけシバく事ができ、さらにチャリンコで「バシッ」と陽気にブッ飛ばすことも可能という「ディズイズ洋ゲー」なシステムを搭載。

しかも驚くのはその通行人の多種多様さ! 普通に考えて通行人なんて数パターンでいいものを本作では約30種を超える通行人&その他(色違い含めると100種近く!@Videogameages調べ)を収録しており「なんたるリアリティだ!これで充実のThrashプレイが堪能できるぜ!」 と国内のメリケン洋ゲーマニアも大満足な出来!

↑充実のラインナップを一部公開
サンフランシスコ感溢れる観光地の「スケボー少年」&「セクシー姉ちゃん」から、もう人間かどうかすら怪しい工業地区の「ゾンビ」&「エイリアン」まで登場するというこのB級具合!(笑) ツッコミ無用の宇宙人もさることながら、この手のゲームのセオリーである「子供は登場しない」を真っ向から否定している所が地味にクールだ(笑) (終盤では”ぶつかって意図的に減速させるため”に子供を配置しているステージもあるぞ…!)

ちゃんと5つのマップで登場する通行人の種類が変わったり、スラム街で鳴り響くUZIの発射音や、チャイナタウンでの怪しい漢字の看板等々…細部を丁寧に作りこんでいる点はポイントが高く、ひたすらにB級で大味なのかと思えば、細かなリアリティが感じられるのは非常に評価できる。

まぁブン殴ってる時点でリアリティもクソも無いのだが(笑) シスコでは日常の風景なのであろう!きっとそうだ!! 最後に、本作で登場するBMX/MTBは大手メーカー「GT社」の実在の自転車ということも付け加えておこう!もうリアリティが止まらない!!(笑)


↑大ジャンプが気持ちイイ!
泣きのメロディックパンク炸裂

エクストリーム系ゲームでは欠かせない要素のBGM。 本作では7 SecondsBig Drill Carを筆頭にパンク・ハードコアを中心とした9バンド/16曲もの楽曲が収録されており、涙腺崩壊のメロディックパンクを聞きながら街を爆走することができる。

もうこの2バンドが聴けるという時点で”プレイ中のテンションは約束されたようなもの”だが、本作にはまだまだカッコいいバンドが多く収録されている。 さて、今回はそんなクールなサウンドトラックから個人的にオススメな曲をピックアップしてみたぞ! はい紹介!


Big Drill Car/Nagaina 

80年代後半から90年代半ばにかけて活動していたUSメロディック・ポップパンクバンド。 哀愁漂うパワーポップ節が最高。 長年解散していたが、近年再結成を果たしALLと共にツアーを回った。


Armchair Martian/Xenophobe A Car

こちらも90年代に活動していたUSメロディックパンクバンド。
Descendents/Hüsker Dü等から影響を受けた渋いメロディックを聞かせてくれる。 Lagwagonのメンバーと親交があるらしい。


Dodgeball/Losin' It

全然情報が出てこない女性ボーカルパンクバンド。 ガレージパンク寄りでチープなサウンドがカッコイイ。 調べてみるとどうも本作ではCargo Musicにゆかりのあるバンドが多数収録されているみたいだ。


The Cardiac Kids/Jack or Better

BMXと相性抜群なサンディエゴ産メロディックハードコアバンド。 このバンドも情報が少なく、ほぼ同名のパンクバンドが存在することから情報が錯綜している。 ゲームに収録されている曲はリリースされていないレアトラックとのこと。



このカッコよすぎるパンクロックを聴きながら晴天の「ベイエリア」夕暮れの「チャイナタウン」を爆走…… 今回初めて聴くバンドが多かったが、どのバンドも非常にカッコよくマジで最高の一言。 個人的にはここまで”捨て曲の無いサウンドトラック”は初めてかもしれない。

間違いなくこのゲームを代表する重要な要素のサウンドトラックは、パンク好きならずとも全B級バカゲープレイヤーは必見…いや必聴の要素と言えるだろう。 ……まったくこういう出会いがあるからバカ洋ゲーはあなどれないな! ビバ・エクストリーム!
(収録曲一覧)←


↑様々な障害が立ちはだかる。
抜群のゲームバランス

街並みや無駄に多い通行人の作りこみももちろん凄いが、それ以上に感心したのがクリア出来るか出来ないかの絶妙なラインの難易度設定だ。 上でも書いたが、ゲーム中盤以降は一筋縄ではいかないステージが山ほど登場し、トライ&エラーの繰り返しで攻略法を編み出していかなくてはならない。

中には「どうやって入ったんだよ!」フェンスの中にいる客や、絶対轢かれる位置にいる線路上の客などかなりフリースタイルな位置に居ることもしばしば。 立体的なマップの構造を理解し、時には小回りの利く車種や、ジャンプのし易い車種に乗り換えて挑んでみるなどの工夫が必要。 決まったルートが無く箱庭スタイルの本作では、視点を変えて考えてみるのがカギとなる。

このように、ただ配達量を増やすだけの難易度アップではないのが、このシンプルなゲームに奥深さを与えており、結果的に何度もプレイしたくなるような面白さに繋がっているのかもしれない。 全面クリアは容易ではないが、後半のミッションは面白いものが多いので、プレイする際は諦めずに頑張ってほしい。 健闘を祈る!


↑終盤、バカゲー度は最高潮に!
唯一無二のメッセンジャーゲー

かなりニッチなジャンルに目を付けた本作。 括り的には間違いなくB級/バカゲーの括りになってしまうが、その爽快なゲームプレイや難易度設定は完全にA級品質。 文句なしの良ゲーと言えるだろう。 バカゲー好きはもちろんのこと、特に「Road Rash」「Hard Rock Cab」が楽しめたプレイヤーにオススメしたい逸品だ。

2015年現在ではPS版は1000円~2000円程度、SS版は3000円~5000円程度とSS版の方がレアとなっており、今プレイするなら比較的容易に入手できるPS版の方が良いかもしれない。 埋もれるには勿体なさすぎるので、是非一人でも多くのバカゲーマーにプレイしてほしい! 以上!

最後に!どうしてもクリアできない人のために「フリーモード」出現&「ロケット自転車」入手済みのパスワードを伝授!「DCCNKLNKJO」 だ! 尚、SS版で使えるかは不明!

↑B級アートワークも完備!