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2024年4月

SS 「特捜機動隊 ジェイスワット」

1996 バンプレスト
SS
↑目がチカチカするインターフェース!

セガサターンソフト「特捜機動隊 ジェイスワット」を紹介!

みんな大好き実写映像特殊部隊をフィーチャーした、これぞシネマティック・タクティカル・シューティングゲーム!あのトム・クランシーもきっと大絶賛の(適当)本作の魅力について迫っていくぞ!
……こんな時代のこんなFPSがやりたかったんだ!!!


↑レティクル表示のみのタイプだ
和製レインボーシックス

本作は、日本が誇る最強の極秘特捜部隊「ジェイスワット」の一員となり、ストリートギャングや暴力団とドンパチを繰り広げるFPSゲームだ。3Dのフィールドにスプライトアニメーションの敵表示と、おおよそこの時代の標準的なFPSだが、”純国産”のゲームと考えるとなかなか珍しいのではないだろうか。

物語となるのは経済成長と引き換えに”今までにない重火器による凶悪犯罪”が多発するようになってしまった日本。組織犯罪や治安の悪化に対応しきれなくなった警察は、秘密裏に特殊部隊を結成。警察にも自衛隊にも属さない”完全な制圧のみを行う部隊”それがこの「特捜機動隊 ジェイスワット」である。

ゲームの流れとしてはまず「実写映像でのシネマティックストーリー」からの「武装&作戦フェーズ」、そして「突入してのドンパチ」といった感じで進行。実写映像に関しては次の項で紹介するが、オープニングから長尺の実写映像でブッ飛ばしてくるのがイカす。ゲームに登場する実写フェチにはもうこの時点でたまらない!


↑そのカッコイイ銃はなんだ!
特撮風実写映像テンコ盛り

オープニングからブリーフィングにミッション前後と、全編通してふんだんに盛り込まれている実写映像。思い思いの武器で武装したスワット隊員がこれでもかと登場する様は必見で、突入時は手信号で隠密に配置についてからの”全員一斉にがっちゃんこリロード”が毎回拝める大満足仕様。
その後”GO!!!と叫んで突入”という隠密もへったくれもなくなるのはツッコまないでおこう。

↑バンダナってところが良いんだよね

また、敵の紹介でもこれまた思い思いの武器で武装したヤクザが登場。こちらは特撮風というか安いVシネ風となっており、”ロン毛がカメラ目線で発砲””リボルバーの銃身をペロッ”など「俺ってちょ~悪ぃ~だろ~?」な完璧な演出で楽しませてくれる。発砲シーン過多なテイストも◎。

このノスタルジー度の高い”味な映像”の数々は、警察24時風のナレーションと相まって思わず目頭が熱くなってくる。ちなみに本作でのナレーション&JSWAT隊長の声は、あの超名作アクション映画「コン・エアー」ジョン・マルコヴィッチの吹替えを担当した壌晴彦だ!(どうでもええわ!)


↑体重の表記はいらないだろ(笑)
トンデモ武器大集合

さて、そろそろ突入といきたいところだが、機密作戦には準備が必要だ。毎回、作戦前には武装選択フェーズがあり、持っていく武器を選択することが出来る。もちろん好きな武器を好きなだけ…という訳にはいかず、設定された「最大装備重量」を超えないように7つのスロット」に振り分けて行かなければならない。

登場する武器は、ぞれぞれ「攻撃力」「連射力」「重量」などのパラメータが異なる全15種類。ハンドガンだけでも7種類存在するという無駄な凝りよう。(褒めているぞ) 見た目もリボルバーやハンドガンにレーザーサイトやスコープを付けまくった中二病溢れるデザインがイカしており、「ガーゴイル」「マッドイーグル」などのダサいネーミングセンスと相まって武器選びが非常に楽しい。

↑冗談みたいな見た目がイカす

JSWAT標準装備のハンドガン「パワーガロック」や、明らかに突入に不向きなスナイパーライフル「ガーデンスナイプ」、そして本作屈指の威力とカッコよさを誇るショットガン「ビッグリボルバー」などなど…充実のラインナップに「もう…何もっていったらええねん!」となること間違いなしだが、コンピュータによる「オート装備」も搭載しているので心配ご無用。

また、弾薬は武器とは別枠で用意しなければならず、そのことを知らなかった初回プレイ時には”弾薬不足で立ち尽くす重装備のSWAT隊員”となってしまった。弾薬は多めに持って行くのが良いだろう。

↑敵の数多すぎだろ(笑)

こうして武装を整えたら、最後は突入プランの選択だ。レインボーシックスさながらのこの画面では、「プレイヤーの開始位置」「援軍によるバックアップ」、そして「スナイパーによる援護射撃」の設定が行える。

バックアップは位置を指定するだけだが、スナイプ援護については位置と「開始時間」の設定が必要。突入から「30秒後」「1分後」など1秒単位での設定が可能だ。意外とマップの内部は複雑なので、余裕を持った時間設定が望ましい。

これでようやく準備は完了だ。この後流れる突入前の”くどいまでの出動映像”(褒めてるぞ!)からの戦闘開始となる。


↑開始2秒で大ピンチに!
満を持しての突入だ!

「さぁ!俺のパワーガロックが火を噴くぜぇ!」てな感じで戦闘開始。ストリートギャングごとき、JSWAT標準装備のハンドガンで十分だろう!と威勢よくズバズバ撃ちまくるものの……まぁ~倒せん!というか全然弾が当たらん!(笑)

本作に登場する敵は、大きく分けて「移動タイプ」「半固定タイプ」の2種類が存在。後者は落ち着いて標準を合わせれば大丈夫だが、前者の移動タイプは右へ左へスイスイ移動しながら撃ってくるため非常に狙いにくく厄介。

もちろん、最近のゲームで搭載されているような画面中央付近の自動照準”なんてものはあるはずもなく、右へ左へとこちらもサイドステップしながら応戦することになる。

↑上から狙ってくる敵は厄介

そしてもう一つ問題となるのが、銃全般の火力不足だ。ハンドガンやサブマシンガンなどは何発も当てなければ倒せず、動きまくる敵に対してかなりの弾薬を消費してしまう。もう思わず「パワー不足ガロックやんけ!」と突っ込まざるを得ない。

マップ上に「回復アイテム」「弾薬パック」等が一切無いタイプの本作では、1人の敵に時間をかければかけるほどジリ貧になり、後半での戦闘がキツくなってくる。しかし、銃の威力不足だからと言って「スナイパーライフル」を装備していくとこうだ↓

常時スコープ画面
難易度Very Hard

常にスコープ覗いてるとかなんなんだよ!(笑) 威力は高いかもしれんが、この画面のまま移動するとか無理があるぞ!もはや別ゲーと言っても過言ではない。ある意味高難易度モード「スナイパーライフル」は間違えても装備してはいけない。

もうお分かりかと思うが、本作での装備は「ショットガン」一択だ。3種類存在するショットガンはどれも殆どの敵を1、2発程度で沈めることができ、攻撃範囲の広い散弾は移動タイプの敵にも容易に当てることが出来る。「楽しく武器選んでいたのにたった3種類かよ!」と思うかもしれないが、これは実戦だ!おもちゃを持って行く訳にはいかないのだ!


↑逮捕システムも搭載だ!
オーバーキルに注意

気を取り直してショットガンの「トマホーク」を装備して突入開始。さっきまでの苦戦が嘘のように敵を葬りまくるJSWAT隊員。まぁ葬るといってもブタ箱にぶち込んでやっているだけだがな!(笑) 仮にもJSWAT隊員な本作、実は敵を倒すということは推奨しておらず、出来るだけ逮捕しなければならない。

逮捕するには、敵にある程度のダメージを与えてダウンさせ、Aボタンを押すことで逮捕となる。その際に聞ける敵の「やめてくれぇ~!」「うつなぁ~!」などの命乞いボイスは、まるで”その辺の素人が当てているようなヘボさ”なのである意味必聴だ。(というかナレーション以外のボイスアクトは総じてめちゃくちゃヘボい。ヤバい。)

しかし、そんなヘボイスも悠長に聞いている暇はなく、ダウンした敵は一定時間経つとまた復活してしまうので注意が必要。復活されると無駄に弾薬がかかるだけでなく、次はダウン=銃殺となり、ミッションの評価にも影響が出てしまう。JSWATたるもの、正確な射撃と迅速な逮捕を心掛けよう。


↑マッドマックスなギャングのボス!
失笑のボス戦

強力なショットガンで片っ端からギャングを成敗していくJSWAT隊員。しかし、今までの奴らは所詮ザコ……最後に待ち受けるボスを倒さなければミッションクリアではない。

ステージの要所には、ギャングやヤクザとのボス戦が用意されている。ボスとの戦闘前には短いながらも”へボイスでのやりとり”が用意されているのが嬉しい。また、1面のボス戦時では、今までの地味なBGMからガラりと変わって”やたら楽しげなロック調のBGM”になるのが最高。

もちろん、ボス戦でも逮捕システムは導入されており、ダウンからの逮捕も可能だ。……が、ボス戦に限っては弾薬の心配をする必要が無いので、命乞いからのオーバーキルが正しいJSWATスタイルだと言えよう。ブリーフィングでも「やむを得ない場合は銃殺も許可しよう」と言っていたしな!オネーちゃんを人質に取る奴なんざハチの巣にしてやるわ!
(こんなプレイばかりしているからミッション評価はC止まりだ!ふざけんな!笑)


↑ゴ…ゴン◯レスさん?(笑)
ハンドガンナーズ

ミッションを進めていくと、どうやら日本では安価に密造した通称「オリジナル」という銃器をバラ撒き、日本を銃社会にしようと目論む「ハンドガンナーズ」と呼ばれる銃器密売組織が暗躍していることを突き止める。

やっと捜査の糸口をつかんだJSWATだったが、時を同じくしてハンドガンナーズから「我々に干渉するな、さもなくば東京都内に無差別でミサイル攻撃をする」との犯行声明が届く。この事態を重く見た上層部は「JSWATの活動を停止する」と告げ、事態の沈静化を図ろうとする。しかし、そんな状況の中ハンドガンナーズは挑発するかの如くミサイル攻撃を仕掛けてしまう…。

一体どうなってしまうしまうんだ!助けてくれJSWAT!助けてくれマルコヴィッチ隊長!ってな感じで、後半のストーリーは意外と熱く見ものだ。しかもこの一連の物語が実写映像で楽しめるんだから堪らない。もうゲームというか特撮ドラマ見てるみたいだな!是非全面クリアして巻末を見届けてくれ!


↑ニュース風の映像もあるぞ!
90分の特撮ドラマ

面白いデザインの装備に作戦計画、時代の風をビンビンに感じる実写映像などなど…この時代の”国産FPS”としてはなかなかマニアックな作りで面白い。しかし、長尺の実写映像を詰め込んでいるからなのか、ゲーム自体のボリュームは非常に少ない。総プレイ時間はなんと90分だ(笑)

遊べるステージは3つしか無く、最終面はちょっと変則的な構成になるが、それでも全然物足りない。「全てのミッションで最高ランクをとる」「低火力の武器でどこまで行けるか」なんていう”遊び”を自分で考えてプレイしないと、本当に一瞬で終わってしまうだろう。

また、ウリである凝った作戦計画だが、スナイパーの援護やバックアップが非常に分かり辛く、ゲーム中は「そげき しっぱいだ!」なんて無線をしょっちゅう聞くハメになる(笑) まぁ…こういうのは”スナイパーの援護を背中に感じながらの突撃”なんていうロールプレイができればいいんだよ!要は楽しむ心が大事なんだよ!……いやダメか!(笑)


↑ボス戦で弾薬が尽きた例
国産FPSの初期作品

ボリューム不足という欠点は確かにある。ただ、ゲーム自体はかなり面白いので(いろんな意味でだが)、そこは安心して頂きたい。短いながらも濃いフィーチャーをふんだんに盛り込んだ本作は国産FPSの佳作”と言えるだろう。

そしてやはり特筆すべき点は、本作がPC版の初代「レインボーシックス」2年も前に発売されたゲームだということだ。同時期のSSやPSのFPSと言えば、殆どが洋ゲーの移植ものだ。「キリーク・ザ・ブラッド」「ダイダロス」等の国産の物もあるにはあるが、どちらかと言えばロボットゲーという印象だ。

そんな中で発売された本作は、同年に発売された「エキスパート」というこれまた国産の特殊部隊FPSと並んで、国産FPSの貴重な歴史なのではないかと思う。実写映像満載の90年代なFPSを探している君にオススメだ!……なんか久しぶりに「コン・エアー」を見たくなってきたぞ!(笑)以上!!!

↑本作屈指の名シーン!敬礼ッ!